AIの事が気になるので、自分に合った本を探してみた。

2025-8-16(AYSA西部部会会員 KNK)

我々高齢者はいずれ死んでしまうのだから、余生はのんびり過ごしてお迎えが来るのを待とうという考え方もあるが、死ぬ直前まで、理解できる限り時代の最先端を理解しておきたいと言うのが私の考えだ。学歴のない私でも好奇心をもてばある程度のことは理解できる。それを助けてくれる有難いツール(それこそAIやインターネット)もある。

今回は3冊ご紹介する。

一つは「シンギュラリティはより近く」(NHK出版)とその原著「THE SINGULARITY IS NEARER: When We Merge with AI」などである。どちらも昨年2024年に出された本で新しい。

(あとは、今回の本とは逆に、悲観的な観点からの本で「AIを封じ込めよ THE COMING WAVE」だが、また別の機会に。こちらも昨年出版。)

⚫︎「シンギュラリティはより近く」(NHK出版)レイ・カーツワイル 訳/高橋則明

私はこの分野には非常に興味がありながら、強迫観念的な怖さを感じている。AIともなると哲学的な部分に触れざるを得ない。
著作権に触れるのであまり詳しくは書けないが、それほど難しい本ではない。難しいと言えばやや難しいが、原理などを説明した本ではなく、歴史的な観点から2030s〜2040s〜その先まで、近未来を見通した著作である。ある意味より多くの読者にお勧めしたい本である。

一般に言われる、AIが人間のあらゆる知能を超えるシンギュラリティ(言葉の定義としては正確には間違いだと書かれている)は早くてあと5年、数年程度で来そうだと書かれている。悲観的な本もある中で総じて楽観的である。もちろんリスクも巻末に少し触れられている。

統計やグラフなどを使って未来予想を語っておられる。読むべき本が溜まっているので早く読もうと思って読み始めたら、あっという間に読み終わってしまった。余り見出しで分けてないので、一気に読むしかないのである。私としてはあえて読み込むタイプの読書はしなかった。決して内容の軽い本ではないが、未来予測はほぼその通りになりそうな気がしている。

印象に残った話を書くと、日々急速にAIは進歩し続け指数関数的に(急激に)能力を拡大している。
今までの研究開発はいわば手当たり次第に実験して成果がでるというやり方だが、次々にそのやり方が分かってくるとあらゆる開発が効率化・加速する。毎日ノーベル賞クラスの新発見が続く状態になる。

人間の脳とのギャップが出てくるので、直接両者を繋ぐ事になるらしい。既にイーロンマスクは特殊な病気の患者にその手術をやっている。(この人の物の考え方にはかなり危ういものを感じるが)
医学の進歩はナノロボットを使った治療による。最近NHKの番組「人体」でも紹介された、細胞の中には無数の無生物がうごめき、私たちは生かされている。それを使おうと言う事らしい。
また製造業は、3Dプリンターが高度化し、あらゆるものが作られる様になる。緻密になったノズルを想像すれば良い。究極的には原子を動かして、新しい物質を作り出す。
また農業は屋内で垂直的な栽培法に。肥料などを上から循環し、光や水の心配もなく、災害にも強く、これこそ最も無駄のない方法とのこと。
そしてその「生成AI」に体を与えたものがロボットである。今までの産業ロボットは、人間がひとつ一つプログラミングして動かしていた。
「生成AI」なるものはプログラミングに、人間の脳で情報が伝わっていくのと同じ仕組みを導入した途端に、自分で学習をし、今迄とは全く異質な脳の様な働きをする事になった。いやむしろ人間の脳も電気の流れを利用していて、同じではないのか。だとしたら、AIも意識・意志を持ち出すのではないか、と言った話も巷間語られている。
もちろん近いうちに(?)、人間の仕事はなくなる。(その意味で経済の停滞した日本の、諸外国と競争して投資すべき量子コンピュータ、AI、核融合発電、宇宙産業など経済成長のネタは幾らでもある。)ベーシックインカムなる仕組み導入は不可避だろうが、人は何を生き甲斐に暮らしていく事になるのか、それなりに今の子供達は見つけて行くのだろう。それがまだ我々が元気なうちに訪れるかもしれないのだ。

こう考えると、もっと今の最先端のAIのプロンプト(AIへの指示文。書き方によって結果の優劣がでるとも。)でも学習して、慣れて生活に生かしてみようと考える今日この頃だ。

著者のレイ・カーツワイル氏は1948年生まれで我々と同世代。未来学者で現在Google社で研究しておられる。おおむねこの本に書かれてある様な事柄を研究して来られたのだろう。

⚫︎THE SINGULARITY IS NEARER: When We Merge with AI RAY KURZWEIL (Viking)

「シンギュラリティはより近く」(NHK出版)の原著。少し英語で読んでみたが、こちらも比較的読みやすい。

最近感じる事だが、自分の書いたことを翻訳アプリで英訳すると、ほぼ同じ文章だと感じる。本書もそうだ。ここまで同じニュアンスに訳す事ができるとは。もちろん直訳なのでネイティブが自然に感じるかどうかは別である。

横道にそれたが、本書の英語は比較的読みやすいが、言葉の背後にある意味がやはり少し複雑。日本語訳が見事なのかもしれない。

⚫︎KIKI’S DELIVERY SERVICE 「魔女の宅急便」角野栄子 原作 (YEARLING)

ジブリのアニメで有名な「魔女の宅急便」の原作本の英語版である。ネイティブの小学生向きの本だ。少し読んでみたが、大変英語が読みやすい。ぜひ英語多読の初心者にはお勧めしたい。
何しろストーリーはわかっているし、ネイティブの作家の原作でないので、分かりにくい英語は使われていない。読み比べてみた事があるが、特に小説はネイティブの作家のものは子供本でも難しく感じる事がある。それに結構分厚くても安くて、お買い得。

それはそうとこの文章おかしくない? 本の表紙トップに書かれている。
The classic that inspired the beloved animated film

70歳代の私でも、結構英語は読める。子供向けはほぼ楽勝だが、三日坊主で英読を忘れていても、その単語がみた事があるかどうかは分かる。
全体からぼんやりと意味を推測できる事がある。どうしても知る必要があれば辞書を引けば良い。見た事がある単語は読書を重ねて行くほど増えて行く。
脳内のネットワークは自分の努力で増やす事ができる。私は生粋の日本人だが、日本語はどんどん忘れて行くのにだ!!


⚫︎シンギュラリティはより近く 人類がAIと融合するとき

著者 レイ・カーツワイル
訳者 高橋則明
発行者 江口貴之
発行所 NHK出版
 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町10-3
 電話 0570-009-321(問い合わせ)
 0570-000-321(注文)
 ホームページ https://www.nhk-book.co.jp
印刷 三秀舎/近代美術
製本 藤田製本
Japanese translation copyright ©2024 Takahashi Noriaki
Printed in Japan

⚫︎THE SINGULARITY IS NEARER: When We Merge with AI  RAY KURZWEIL

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Copyright © 2024 by Ray Kurzweil
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⚫︎KIKI’S DELIVERY SERVICE 「魔女の宅急便」角野栄子 原作

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This is a work of fiction. Names, characters, places, and incidents either are the product of the author’s imagination or are used fictitiously. Any resemblance to actual persons, living or dead, events, or locales is entirely coincidental.

Translation copyright © 2020 by Penguin Random House LLC
Cover art and interior illustrations copyright © 2020 by Yuta Onoda

All rights reserved. Published in the United States by Yearling, an imprint of Random House Children’s Books, a division of Penguin Random House LLC, New York.
Originally published in Japan and in paperback under the title Majyo no Takkyubin by Fukuinkan Shoten Publishers, Inc., Tokyo, in 1985. Text copyright © 1985 by Eiko Kadono. The English rights arranged with Fukuinkan Shoten Publishers, Inc., Tokyo, through The English Agency (Japan) Ltd. All rights reserved. Originally published in hardcover in the United States by Delacorte Press, an imprint of Random House Children’s Books, a division of Penguin Random House LLC, New York, in 2020.
Yearling and the jumping horse design are registered trademarks of
Penguin Random House LLC.
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AIの事が気になるので、自分に合った本を探してみた。」への3件のフィードバック

  1. knk 返信

    上記の「魔女の宅急便」の英語版、少し大言壮語し過ぎました。

    読みやすかったのは最初だけで、なぜか小説(フィクション)は読みづらい。特に会話がたくさん出て来る部分。
    理由を考えて見るに、表現の自由度が高過ぎるからなのか?
    ハリーポッターほどではないが…。

    逆にいうと、英語表現は自由にしても良いんだと、分かって来たとも言えますが。特に普段使いの英語は間違っても良いという事。
    そこで必要なのがやはり推測力!内容を把握するのが重要でしょう。

  2. myz 返信

    KNKさんへ 
    シンギュラリティはより近く(AIが自己改善しを日々繰返し人間の知能を超える転換点が近づいている) 最近テレビの報道番組でも取り上げられているのですがやはり加速的に変革していく時代がすぐそこに迫っているのでしょう。私達の日常生活様式の変化(実際には目に見えない)が起こってきているのでしょうね。日本のこれからは様々な業界(特に政治)でのパラダイムシフトの出遅れを如何に早く取り戻すかにかかっているのでしょうが?私達シニアにとって難しい課題を突き付けられているような気がします。
    それにしても、継続は力なり。英語読書も範囲が広がりましたね。ここまで進むと英語との繋がりが楽しみとなっているのでしょうね。ご同慶の限りです。益々のご精励をお祈りいたします。(MYZ)

    • knk 返信

      MYZさん、早速の返信ありがとうございます。
      AIは政治もですが企業の取り組みが諸外国と比べてかなり遅れているとの事。個人レベルでの利用に留まっているとか。

      政治では新政党「チームみらい」のYouTubeがお勧めです。あとPIVOT とか文藝春秋社の何とかという番組とか、主に若いスタートアップなどを対象とした番組でしょうが、関連番組を私なりに理解しながら興味本位でよく見ています。

      英語は「英語多読」の著者の酒井さん?が言っておられた、積読をもっとしなさいと、飽きたら別を読むとかのチョコチョコ読みで結構との事。一冊完読という事でなくとも良い様です。

      これで積読の罪悪感も減りました。三日坊主でも英語への情熱を無くさなければ、英語回路が頭で出来上がって行く様な気がします。年齢関係なく。

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