2025-10-23(AYSA西部部会会員 IKD)
1.日 時:R7(2025).10.23(木) pm1:30~pm3:30
2.場 所:旧宇部市民活動センター2階会議室
3.出席者:IKD,ASD,ATK,USI,KNK,KTM,SMI,HYS,MYZ,MRN,KBK(11名)
セミナー
テーマ「火薬の歴史」


~近年、火薬に関わる用途は様々な分野へと拡大しています。その開発の歴史に触れると共に私達の身近なところでの用途開発も併せて理解する~
講演者:IKD氏(AYSA西部部会会員)
概要
火薬の歴史について9世紀から21世紀までの変遷について日本、中国、イスラム、ヨーロッパでの関係性の中でのストリーとして話題提供
- 9世紀 「黒色火薬」(硝石+硫黄+木炭がおよそ70:15:15で混合されたもの)中国で発明
- 11世紀(宋の時代)霹靂砲(手投げ弾の一種)が使用される
- 13世紀 元寇で震天雷が使用(日本 「蒙古襲来絵図」に震天雷が出ている)、中国では震天雷・火槍・火砲を使用 イスラムでは中国から火薬知識が伝わる ヨーロッパではロジャー・ベーコン「大著作」に火薬の記述がある
- 14世紀 ヨーロッパ レ・コンキスタで大砲を使用
- 15世紀 イスラムのオスマン帝国がコンスタンティノーブルを攻めた時に大砲を使用 ヨーロッパはルネサンスにより科学振興し始める
- 16世紀 種子島に鉄砲伝来 なぜヨーロッパの先生だったイスラム諸国が停滞したか? ヨーロッパ 3大発明で世界へ
- 17世紀 ヨーロッパ 世界初の採鉱発破 仏・発破でマルパス運河隧道
- 18世紀 ヨーロッパ ピクリン酸合成雷こう合成 塩素酸塩火薬(爆然と爆轟、火薬と爆薬)
- 19世紀 日本(明治維新)ヨーロッパ 産業火薬3大発明 無煙火薬発明(ダイナマイト・雷管・導火線) ノーベル賞について
- 20世紀 日露戦争で無煙火薬を使用 ヨーロッパ 核兵器の出現 産業火薬は硝安主体の爆薬に移行(ANFO,含水等)硝安の特異性
- 21世紀 日本ダイナマイト生産中止(産業用途としては、自動車安全部品用が多くなっている)
- 軍事用の主な爆薬 TNT ピクリン酸 ペントリット、RDX、 HMX、コンポジションC―4(プラスチック爆薬)、セムテックス(プラスチック爆薬)等 化学品としては、HMXあたりが最高威力 軍事用の方向はHMXを炸薬した電子機器搭載(ピンポイント攻撃)の兵器開発や核爆弾の小型化や低威力化の方向へ
感想


講師は日本化薬にて火薬の研究開発に従事され、その分野での専門家である。火薬の発明のスタートは軍事用に開発されてきた経緯はよく理解できた。一方では産業用に利用されることにより大きく用途の広がりを感じることが出来た。近年、世界各地で戦争が起きている。様々に火薬をベースに開発した最新鋭の兵器が使われていることが想像できる。しかし講師の講話ではやはり火薬そのものは危険物の取扱であり、まずは「安心」「安全」を第一義に研究開発及び製造を進めているとのこと。今回は私達会員にとって初めての分野でのお話しであり大変興味あるお話を頂いた。講師に多謝である。


IKDさんは私より年上だそうですが随分お若く見えますね。
所でセミナーは、火薬の歴史に沿ってお話しされましたが、歴史のみならず、原理の話やら爆発力の測定の話などかなり周辺の知識が充実していました。歴史など色々下調べもされたのでしょう。
メンバーは化学知識の豊富な方が多く話が弾んでいた様です。
私は江戸時代の小便利用のエピソードを一言言っただけでした。
それにしても思うに、よく人類は火薬の様な物を発明できたなと思います。発見は必然だったのかどうかはともかく、未だに土木や武器にも大きな比重を占めています。
何でも最近電気を使ったレールガンやレーザー兵器も実用化されそうですが、火薬の役割はまだまだ終わりそうにないですね。