私たちはSDGsの推進において何をなすべきでしょう

2023年11月1日にNPOうべ環境コミュニティーの主催で特別講演会「私の考えるSDGs」が開催されました。講師は㈱オープンハウスの益田文和氏と、薄井の二人であり、それぞれが各30分のプレゼンテーションを行った後、約1時間の意見交換と討論が行われました。益田氏は「サステナブルデザインとAnimal SDGs」について語られ、薄井は表題の話題について語りました。当日の内容については近々、うべ環境コミュニティーのHPのブログに掲載されると思いますので、ここでは薄井が標題について語った内容と、意見交換の概要を記載します。なお、AYSAメンバーの方々にもご出席いただいたことを感謝申し上げます。

今回の話題は、①日本の人口減少と研究力の衰退をどう考えるのか? ②結婚しない若者の増加と出産率の低下について政府の少子化対策は有効か? ③不登校問題の解決への道は何か? に限定しました。ひきこもり、フリーター、非正規雇用の問題などにも触れたかったのですが、時間の都合で割愛しました。

• 日本の人口減少と研究力の衰退:

 日本の人口減少は2100年には5000万人~6000万人になると予想されています。世界における日本のプレゼンスを確実なものにするには、資源の少ない日本で研究・技術立国を目指す以外に道は無いと考えます。教育を真剣に考え、少ない持ち駒で最大の効果的な技術立国を実現することです。多様な考え方を容認する現代社会では、のんびりとした生活や自分を見つけるための人生の回り道も有りかと思います。しかしながら、大学生活において自分を確立し、カンカンになって勉強して大人になって社会に出て行くことが有効かつ効率的な道だと思います。大学生は遊んではいけません。若者はハングリー精神と集中力を持ち続けることが大切です。

• 結婚しない若者の増加と出産率の低下、政府の少子化対策について:

 政府の少子化対策は補助金のバラマキの感は否めませんが、それなりに効果はあると思います。しかしながら、それで少子化傾向に歯止めがかかるかは、疑問に思います。根本は人々の多様な価値観、自由な生き方を容認する社会の枠組みにあります。「そこそこの生活を送っていれば、それで良しとする風潮を幼い子供に伝染させるな」と言いたいです。結婚生活では何が大切かを親が子供に教え、結婚しない子どもには、「今一度真剣に子供と向き合って結婚することの大切さを議論しなさい」と言いたいです。

• 不登校問題の解決への道は何か:

 不登校の児童の数は年々増えつつあり、クラスに複数の不登校児童がいることが当たり前になってきています。親は子供に対して愛情を持ちつつ毅然とした態度をとることが大切ですが、加えて学校教育機関、医療福祉関係機関、臨床心理師、自治体(福祉行政機関)などの連携によって、適切な対応を取ることが重要です。

 後半の議論の中で、「SDGs活動の評価はどうすべきか?」と言う質疑応答がありました。個々のSDGs項目について、ゴール達成の指標を掲げて、その達成度を評価することが考えられますが、客観的に見て2030年までに、どの項目も完全に達成することが困難であると思われます。

私たちはまず自由で束縛の無い生き方に最も重要な価値を見出し、「人に良くしてあげよう」と言うことをモットーにして生きることが大切です。権力にしがみつくことなく、金欲に走らず、色々な欲望に捉われず、他人の考え方に寛容ある生活をすることです。加えて、SDGsの理念である「全ての人々にとってより良い持続可能な未来を築く」ために、自分のできるSDGs活動を実践していくことが私たちの進むべき方向です。このような生き方の中から、自分の生き方を肯定できる意識が確立でき、世に中の波風に惑わされることなく、信念を持って生きていく人々が増加していくことがSDGs達成への道であると思います。

今回の講演資料を纏めるにあたって、総務省、内閣府、文部科学省などの公表資料を引用しました。その際、現在までのデータや、ここ数年間の未来予測は確度が高いと思われますが、今後数十年~100年程度の未来予測は何処まで信じてよいのか疑問に思う部分が多々ありました。例えば気候変動の予測にしても、本当にどうなるのかは誰もわかっていません。これまでのデータの延長と、計算科学による未来予測から近い将来、地球温暖化が厳しい状況になるであろうと予測して、多くの不安を掻き立てる情報が出回ります。温暖化については、スパコンで解いている基礎式の非線形性、カオスの要因、地球全体の気候変動の安定解の揺れ、などに加えて人間の経済活動の未来などが、どの時点でカタストロフィー現象を引き起こすのか誰もわかっていません。今後色々な情報に接するにあたって、私たちは冷静で公平な情報の判断(ファクトチェック)をする必要があることを強く感じました。 (USI)

私たちはSDGsの推進において何をなすべきでしょう」への3件のフィードバック

  1. myz 返信

    「私たちはSDGs の推進において何をなすべきか」プレゼンの資料も拝読いたしました。USIさんの今の日本を「憂う」真剣なお気持ちが伝わってきます。それぞれに課題を明確に指摘され、その解決策に未熟さがあると。難しい問題です。私は、やはり日本の組織構造に起因しているところが大きいのではないかと思っています。かって小泉さんが「自民党をぶっ壊す!」と発言して話題になりましたが、「ぶっ壊して新しいものを構築する」ことが日本人は苦手なのではないでしょうか?いつも感じていることですが、日本の官僚組織は、今ある現行制度を全く新しいものに作り替えていくことが苦手(しない)で、現行制度をつぎはぎしながら凌ぐのが得意(頭が良すぎる?)ではないかと思うのです。やはり国民に対し痛みを伴う改革にどの程度挑戦することができるかでしょうか?かっての「国鉄」「日本電信電話公社」「日本たばこ」「日本郵便」等、これだけのことが出来る人材が今の日本には育っていないことも要因の一つでしょう。今は、又これからは、私たちが若い頃に過ごした時代とは格段のスピードで変化してきているのでしょう。日本の社会に溶け込んでいた「直系家族主義」から「核家族主義」へ、その結果、結婚観、そして子供を育てる養育感も変わり、しかしその原点は「働き方改革」にあるような気がします。私は、才能のある若い人は努力していると思います。すでに、世界に羽ばたいて活躍している若者(アスリート)がいることは見逃せないでしょう。そのことも認めてあげることも大事なのではないでしょうか?
    政治(官僚組織)の貧困を、彼らがきっと変えてくれるでしょう。その意味でも、もちろん私たちシニアも一つ一つの行動をよく考えて(何故!何故!何故!)進めることが大事であると感じました。私は、USIさんの講演に参加できなかったのですが、この度の投稿を拝見させて頂き、改めて敬意と感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。(MYZ)

  2. knk 返信

    SDGs世界の持続可能性について考える時、非常に大きな内容を含んだテーマではありますが、誰でも皆さん一家言ありそうなテーマです。

    私も殆ど詳しく理解せず、傍観している立場で勝手な感想ですが、もう既に具体的な行動に乗り出さないと解決が困難になってしまうのではないかという漠然とした不安を持っております。特に地方での動きが鈍感なのではないか(失礼)と感じています。特に中小企業に置けるイノベーションです。

    また日本政府の対策も、これで良いのか、見当違いの事をしていないのか。民間企業にしても、個々の大企業の行動はこれで良いのか。企業活動は利益の減少という形で出てきて分かりやすいのですが、日本の中小企業についても解決すべき問題がなかなか遅々として進まない感じが、無責任な部外者ですが、感じています。

    ニュースを通して、われわれリタイヤ組としても非常に気になっている昨今の状況です。(国レベルの問題と世界のそれとゴッチャになってしまいました。)

    • knk 返信

      それから、今回デザイン関連の方からも講演があったそうです。私も近いところにいるので、決して否定している訳ではありません。

      ややもすると、デザインと言うとゆとりの様なものを感じてしまいますが、状況は更に厳しいと認識すべきと感じています。

      デザインは多くの人に問題を理解しやすくしたり、認識してもらったり、またSDGsを反映した具体的な製品のイメージを形成するために大事や役割があります。デザインと手を携えながら行く事も大事な事に違いありません。

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