高齢者の「英語学習」は認知症予防になるとの研究結果!?

一年以上前から私は英語の本の多読をやっている。とは言えまだ読書量は微々たるもので多読といっても目標の事である。

私のような70代の高齢者が英語学習をする事について、「幾つになっても脳を鍛えれば脳細胞のネットワークを増やす事は可能」との最新知見から、それなら英語学習も良いのではないかと気付き、「英語多読」を始める事にした。Amazonで「英語多読」を薦める本を見つけたからである。始めた当時は「英語多読」という言葉は殆ど世の中に存在しなかった。ところが今ではその効果を認められたのか、YouTubeでは「英語多読」だらけである。

私はというと、英語力はまだまだだが、確かに力はついている気がする。

ところが更にその高齢者の英語学習の効果を裏付ける書籍をYouTubeの動画から見つけた。「言語の力」という本でバイリンガル、マルチリンガルの効用を説いている。私は日本語版、洋書どちらも購入済み。(因みにAYSA西部部会には、マルチリンガルや外国暮らしの経験がある会員が数名おられる。)

殆ど読んでいないので分からないが、ズバリ「外国語学習が認知症予防に良い」とは書いていないのかも知れない。しかし要約によると認知症を5年程度遅らせる効果があるらしい。高齢者にとり、5年は十分ではないか。

高齢者の英語学習は本当に認知症予防に良いか?

「言語の力」 ビオリカ・マリアン 今井むつみ/監訳 桜田直美/訳 KADOKAWA

表示が消えたら、再読み込みをして下さい。

直接内容に触れると著作権侵害になるので、本の帯のサブタイトルやAmazonのキャッチコピーをご紹介する。

「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか? あなたの人生が変わる知的冒険。

ChatGPTの翻訳はますます巧みになっていくだろう。そんな時代に、外国語を学習する意味は何か」

慶應義塾大学環境情報学部教授 今井むつみ

「言語が変わると認知はどこまで変わる?衝撃の研究成果がこれでもかと挙げられ、驚きっぱなしだった」

ゆる言語学ラジオ 水野太貴

海外レビュー

「この本を読んだ後は、言葉の見え方も、聞こえ方もかわるだろうーそして人間の脳の偉大さに深い感銘を覚えるに違いない(それに加えて、新しい言語を学びたくなるというボーナスもある。それはスウェーデン詣かもしれないし、スペイン語、あるいはスワヒリ語かもしれない!)。ビオリカ・マリアンは、言語の科学を学ぶのに欠かせない本の著者として、スティーブン・ピンカーやジョージ・レイコフと肩を並べる存在になった」

ダニエル・H・ピンク「モチベーション3・0」、「When 完璧なタイミングを科学する」(ともに講談社)著者

「言話に興味があるか、あるいは複数の言語を話すかどうかに関係なく、どんな人もこの本から多くを学ぶことができる。とてもわかりやすく、綿密な研究に裏打ちされた良書だ」

ハワード・ガードナーハーバード教育大学院教授、「精神の枠組み(Frames of Mind)」著者

「ページをめくる手が止まらなくなる本。自分の中に眠るスーパーパワーを探す旅に出発しよう!」

モーテン・クリスチャンセン コーネル大学心理学教授「言語はこうして生まれる』(新潮社)著者

外国語を学ぶことの利点

  • アルツハイマー病やその他の認知症の発症を4年から6年遅らせ、「認知予備能」(脳が認知症の状態になっていても、症状が出にくい状態のこと)を強化する。
  • 子どもが第二言語を学ぶと、言葉をより俯瞰的にとらえるスキルが手に入り、ひいてはより高度なメタ認知プロセスや、合理的思考を鍛える基礎を固めることができる。
  • 生涯を通じて見ると、2つ以上の言語を習得することは、脳の実行機能の向上につながり、大切なものに集中し、そうでないものを無視するのがより簡単になる。
  • 創造性とダイバージェント思考(幅広く考えることで創造的な発想につながるような思考)を用いるタスクのスコアが向上する。
  • 母語以外の言語を使うと、より論理的で、より社会全体のためになるような意思決定を行う可能性が高くなる。

「メタ認知」とは、自分を更に客観的な視点で見る事のできる能力の事のようである。またちょっと読んだ所によると、更にブレーンストーミングのような場合に、沢山のアイデアが出せるようになるとの事。

本の内容は心理学的な実験などが紹介してあるようだが、さほど難しくはなく、学習などに役立てる内容のようです。私はこのような学問的なお墨付きを頂いた事だけで満足。更に励みにする事ができそうです!

The Power of Language: Multilingualism, Self and Society (Pelican Books)  Viorica Marian

ペーパーバック版はデザインが違います。

こちらは上の本の原書です。ちょっと読んだだけですが英語は平易に感じます。ハリーポッターよりはよっぽど読みやすい(笑)。著者はノースウエスタン大学でコミュニケーション科学や心理学を教えておられます。

現在の私の英語多読の状況

最後に、一年と少し前に始めた英語多読、現在は「ハリーポッターと賢者の石」を読んでいる。なかなか進まず心配していたが、何とか半分近く進んできた。ハリーポッターはまだ読み始めて半年以上の筈。

英英だが辞書を引きすぎるのが時間がかかる原因である。子供の本なので知らない言葉は少ない筈だが、気になり、英英を引くとこれまた英文の解説を読むのが時間がかかる。

また何回も同じ言葉が出てくるがなかなか覚えられない。(これは余り良くないのかも知れないが)そこで英和を引いて、日本語を覚えるのでなく、特に多義語の場合、全部の訳語を見て全体の意味感覚をつかむ事にした。

そもそも英語多読では、覚えようとする必要はないと言われている。確かに文を読んでいると全体で何となく意味が分かっている感覚がある。これを続けるといわゆる英語脳という事になるのかも知れない。読書はまた日本語に訳す必要もなく、自分だけが分かっておれば良い。

ハリーポッターも中ごろになると会話文が多くなり、省略形なので推測が必要だが、かえって分かりやすくなってきた。そこで思い切って、あまり重要でない言葉は辞書で引く事をやめて、どんどん読み進めて行く事にしたら速度が上がってきた。英語学習の為に、ハリーポッターは読むべきという人と、独特の言葉が多く最初はやめた方が良いと言う意見も拮抗する。ただ読破すればかなり実力がつくのではと期待して頑張っている。

またヒアリングも調子の良い時は(?)YouTubeの動画の会話を全部認識できる時がある。意味もある程度分かる。これは全部読書(音読だが)というインプット学習のせいである。

また私は外国人と話す事もなく、一応インプットのみで良いのだが、能力としてはアンバランスなので、最近少しアウトプットの練習として、「パターンプラクティス」を少し始めた。これは昔からある方法で、反射的に文章を疑問文にしたり、中身を一部変えたりして、何回も機械的に繰り返し体に覚えさせる方法だ。そういえば確か高校生(?)の頃に研究社のカセット付きの英語口語教本(?)とかいう本を買ってもらったが、全く使う事なく捨ててしまった。これも確かパタプラだ。

学問的裏づけが頂ければ学習の励みになる!

今からでも遅くない!とにかく皆さんの個人個人の英語の実力に応じて、気楽に手近な洋書を読む事を始めて見てはいかがでしょうか。楽しみと「認知症予防」の為に。

(AYSA西部部会会員 KNK)


《著作権情報》

「言語の力」 ビオリカ・マリアン 今井むつみ/監訳 桜田直美/訳 KADOKAWA

著者 ビオリカ・マリアン
監訳・解説 今井むつみ
訳 桜田直美
発行者/山下直久
発行/株式会社KADOKAWA
〒102-8177 東京都千代田区富士見2-13-3
電話 0570-002-301(ナビダイヤル)
印刷所/大日本印刷株式会社
製本所/大日本印刷株式会社
©Viorica Marian, Mutsumi Imai, Naomi Sakurada 2023 Printed in Japan ISBN 978-4-04-606377-9 C0030

The Power of Language: Multilingualism, Self and Society (Pelican Books)  Viorica Marian

First published in the United States of America by Dutton Books, an imprint of Penguin Random House LLC 2023
First published in Great Britain by
Pelican Books 2023
Published in paperback 2024
001,
Text copyright © Viorica Marian, 2022
The moral right of the author has been asserted
Book design by Matthew Young Set in 11/16.13pt FreightText Pro
Typeset by Jouve (UK), Milton Keynes Printed and bound in Great Britain by Clays Ltd, Elcograf S.p.A:
The authorized representative in the EEA is Penguin Random House Ireland, Morrison Chambers, 32 Nassau Street, Dublin DO2 YH68
A CIP catalogue record for this book is available from the British Library
ISBN: 978-0-241-62602-3

高齢者の「英語学習」は認知症予防になるとの研究結果!?」への3件のフィードバック

  1. myz 返信

    KNKさんへ
    英語多読を本格的に始められてから1年とのこと。続けることでその有益性が認識できる。面白いから続けられるのか、それともその有益性を感じつつ努力をしないと続けられないのか? 物事を始めるのに最初は軌道に乗るまでそれなりの推進力が必要なのだろう。しかし、一端、進みだすと加速的に物事がはかどり、そのことにより次の段階にステップアップへ。ここが大事な事だろう。よく言われている「継続は力なり」と。私もKNKさんの購入された「The power of Language」をkindleで購入 数日前から読み始めたところである。懸念するのは”三日坊主”にならないか?KNKさんのように毎日ページでも続けていこう。(MYZ)

    • knk 返信

      早速ありがとうございます。嬉しいですね。早速同書を読まれているとは。私はまだつんどくの状態で、読むのは先でしょう。

      今はまだハリーポッターを読んでいます。

      コツとしては、まず興味のある本を選ぶ事、余り辞書は引かないで、些細な事や分からない部分は飛ばす事だそうです。

      あと出来れば字句に囚われず、内容を浮かべながらとの事です。
      またあまり「学習」意識に囚われると、かえってスムーズな英語習得の妨げになるそうです。

      それと最初のイントロは読みにくい場合が多いそうです。
      参考になりましたでしょうか?

      かく言う私もまだ学習意識が抜けません。
      あと、できれば音読で読むと、色んな効果がありますよ。

      • knk 返信

        まだありました。
        同じ文を何度も読み返す事は仕方ないと思いますが、英文解釈の様に後ろから前にはせずに、英語の語順の通りに理解する様にした方が良いです。

        また指南書によれば、生真面目に三日坊主とかを恐れずに、気が向いた時にやったりという気楽な姿勢の方が良いそうです。だいぶ間が開いても細かい単語はすぐ忘れますが、能力は結構衰えないものです。

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