「鯛」料理とその思い出

2023-7-18

 昨日、お宮から祭事お供え物のおさがりで「鯛」を1匹頂戴した。30センチはあっただろか、かなり大振りである。早速、家内から「3枚おろしにさばいてくださいね」と。鯛をさばくのは久しぶりである。まずは「鱗」とりから始める。ヒレを切り、頭と胴体を切り離すためにエラを切り取り、お頭を2つに割る。これがなかなか難しい。何しろ骨が頑丈なのである。出刃包丁と金槌を使い何とか切り離すことができた。そして腹を切り開き、内臓をきれいに取り出し水洗いする。そこから3枚におろす。素人だからきれいに揃わないが、何とかクッキングできる状態にし、あとは家内に任せた。

 ところで、「鯛」で思い出すのは、私が子供のころ(約65年余り前)は貴重でお祝い事があるときにしか食させてもらえなかった。その中で、よく覚えているのは「むぎうらし」という慣習で、姉の嫁にいった先(防府市と山口市秋穂)から実家への里帰りの「お土産」が「鯛」であったことである。「むぎうらし」とは、麦がうれ、刈入れを待つ頃の余暇とあり、その季節の鯛は「桜鯛」として旬の最高ものだったと記憶している。母は、頂いた「桜鯛」を、特に決まったレシピを持っていたわけではないが、すべて残さず調理して食べさせてくれた。まずは、お刺身だろう。そのコリコリ感はたまらない。そしてお頭付きの「煮つけ」と山椒の葉(当時、自宅に山椒の木を植えていていろんな料理にその葉を使っていた記憶がある)を入れた塩汁。調味料の加減はどうしていたのか知らないが、まさしく「おふくろ」の味のレシピだったのだろう。また、お刺身の一部は醤油に一晩漬けて、翌日に煎りゴマを少々ふりかけた「お茶漬け」、そして煮汁は一晩寝かせてゼラチン風にし、翌朝、それを温かいご飯に乗せ、口の中で溶けたゼラチンとご飯、うまく表現できないが、それぞれに、鯛と醤油の混在した香りがなんとも言えなく美味しかった。今の卵かけごはんと同じ感覚ではないだろうか?でも、その時の子供心にそう思ったのか、今、懐かしんでそう思っているのかは定かではないが、いずれにしても美味であったことは確かだろう。

 さて、家内はこのさばいた鯛を「カルパッチョ」にしたいと言ってきた。なぜ、「カルパッチョ?」
どうも、過日ある方(料理は奥様と役割分担されているとのこと)からお食事のご招待を受け、その時の「カルパッチョ」がとても気にいったらしい。魚は「サーモン」と「鯛」で調理されていたが、白身の魚であれば「タイ・カルパッチョ」として美味しく頂けるのではとの思いもあったのだろう。カルパチョはソース作りが要である。オリーブオイル、レモン果汁、それに塩胡椒、それぞれの分量は好みに合わせる。トマトの切り身やトロピカル果実や青野菜(カイワレ大根)、ズッキーニ等を添える。
「カルパッチョ」はイタリア料理とのこと。ご招待いただいた時には赤ワイン(スパークリングワイン)で頂いたが、日本酒(大吟醸)にも合うような気がする。この年齢になると、食事も簡単なもので済ましてしまいがちだが、興味をもったレシピにはチャレンジしその楽しみを経験することも大事なのであろう。もちろん鯛料理は、煮つけ、塩汁、焼き魚にしても楽しめる。ネット検索するといろんなレシピが記載されている。やはり、「魚の王様」と言われる所以であろうと改めて思いなおした。(完)

MYZ(AYSA西部部会会員)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です