テーマ「私の平家物語」

2025-4-24(進行/記録 AYSA西部部会会員 MYZ)

1.日 時:R7(2025).4.24(木) pm1:30~pm3:40
2.場 所: 宇部市民活動センター2階会議室
3.出席者:AYSA本部 奥田会長,USI,ASD,ATK,KNK,KTM,HYS,MYZ,MYM,MRN ほか市民1名(合計11名)

セミナー

テーマ「私の平家物語」

講演者:USI氏(AYSA西部部会会員)

 この度のセミナーは、昨年9月に開催したMRN氏の「古典文学を紐解く」(「私からみた源氏物語の全体像」について)の第2弾です。講師のUSI氏は、この度のテーマを「過去の時間への遡及」としてとらえ、ご自分の人生という歳月(80年)を基準とし案外、手の届きそうな過去に起こった戦乱として体感できるのではとの思いで平家物語にアプローチしてお話しして頂きました。

概要

 講演者は最初に、「平家物語は今から約840年前の平家滅亡の物語です。840年と言う歳月を実感することは、人によって様々であると思いますが、私は少しずつ過去に遡って、私の生きてきた約80年という歳月を基準としたときに案外、手の届きそうな過去に起こった戦乱として体感できるのではないかと感じています。今日は過去の時間への遡及を、皆様と一緒に旅してみたいと考えます」と述べて、約80年前に出版された横溝正史作「獄門島」の謎解きのキーワードとなっている三つの俳句を引用されました。

 ・鶯の身を逆さまに初音哉      (宝井其角)

・むざんやな 兜の下の きりぎりす (松尾芭蕉)

・一つ家に 遊女も寝たり 萩と月  (松尾芭蕉)

 講演者はその後、特に松尾芭蕉の奥の細道(約320年前に発行)に遡及します。この中間地点を経て、800年前の平家物語に時を遡及していこうとするのが、今回のセミナーの大きい枠組みでした。

 芭蕉が敬愛していた西行は平家物語の時代の歌人です。平清盛と北面の武士として友人であった佐藤義清(後の西行)や遠藤盛遠(後の文覚)などのエピソードを語った後、いよいよ本論の平家物語に入っていきました。序章に続いて、清盛の悪逆非道が語られますが、弱い庶民の立場として、白拍子の祇王・祇女・仏御前などの運命が語られました。また、戦記物としての華やかさの例として、佐々木四郎信綱と梶原源太影季の宇治川先陣争いの場面が語られました。最後は壇ノ浦の合戦の「先帝入水」を用意していたのですが、時間切れになったので各自でお読みいただくこととしました。最後に、平家滅亡と絡めて、チャールズ・ダーウィンの言葉、「最も強いものが生き残るのではない。最も賢いものが生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できるものである」を引用して、権力者の滅亡、国家の衰退について意見交換が行われました。

感想

AYSA本部 奥田会長(中央)

 講演者の「私の平家物語」のキーワードは、横溝正史の「獄門島」の殺人事件から松尾芭蕉の「奥の細道」の旅人俳句との繋がりを導き出し、さらに西行法師へと遡及する。この度の「古典文学への旅」は「平家物語」の「華やかさ」の裏に併せ持つその時代を映す「巻第一 祇園精舎」に集約されていたような気がする。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の諺にあるように、今日の世界的複雑多岐に生きる私達への問いかけは「歴史の本質を学び矜持をもって」これからのシニアライフの旅をして過ごしていく必要があることを学ばせて頂いた。講師に多謝。

テーマ「私の平家物語」」への1件のフィードバック

  1. myz 返信

    USIさんへ
    古典文学の遡及を若い頃に読まれた横溝正史の「獄門島」の殺人事件から松尾芭蕉の旅人俳句「奥の細道」へ、そして西行法師に繋がる。USIさんは「平家物語」の原文、および吉川英治の「新平家物物語」を読破してこそ、私達を旅人としてその時代へわかりやすく引率頂いたのだと思う。アプローチの原点は、ご自分の人生と重ね合わせてそんな過去の話ではないこと。最後にチャールズ・ダーウインの進化論の言葉を引用されていた。私達は歴史を学ぶ旅人として変化していかなければならない。「強いも・賢いも生き延びるものでない」と。今の現世の在り様を問われているような気がしたが、私達シニアは、それらに惑わされないUSIさんの原点を心に秘め残りの人生を歩むことを気づかせて頂いた。講師に感謝(MYZ)

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