2025-7-3(AYSA西部部会会員 HYS)
電子書籍『益田家物語』の六作目(最終篇)完結! 発売中。
2021/12/09に電子書籍「益田家物語」第一作が公開されました。数年を経て数冊の連作の後、ついにこの度最終編の第六作が公開・発売されることになりました。連作を読み継いでこられた読者の方はもちろん、初めての方もぜひ読んでいただきたいと思います。
作者「高津清流」氏はお仕事を辞められた後、文字通りの晴耕雨読、農業をしながらの全くの未経験畑違いの歴史小説の電子出版を手掛けられました。ご本人は否定されますが、氏こそ我々シニアのお手本のような方だと思います。(サイト担当者より)
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著者より「完結編」出版に際してのコメント(書籍価格¥350)
シリーズ作品の中で、実際に83歳まで生き、子孫は永代家老家として遇されるような働きを残した男の舞台の、晩年の大切りす。 書き連ねたシリーズ作、最後の大仕事を主人公に語って貰いました。
思い返せば、この完結篇を書きたかったから、シリーズを開始したと言っても言い過ぎではありません。
この篇では冒頭部にこれまでの流れを簡潔に書き、この篇だけでもシリーズ全体が理解できるように語って貰いました。
その実在した男の名は、大切りの役者の名は、益田家第20代・益田玄蕃頭元祥です。
我々シニア層に元気と勇気を与えてくれる、老齢期に活躍した、偉大な人生でした。
私は一人でも多くの方々に、益田家の足跡に興味を持っていただきたいのです。
ふるさとは遠きにありて思ふものそして悲しくうたふもの。。。。室生犀星。。。。
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本書「あとがき」より
この篇はシリーズ作品として書き進めた物語の完結篇である。
思い返せば、この完結篇を書きたかったから、シリーズを開始したと言っても言い過ぎではない。戦国時代から江戸初期に到る中国地方の、一国人領主家の親子二代に渡る物語である。
具体的には、鎌倉時代初期から石見の西部を治め、激動の戦国期を生き抜き、後に長州藩の永代家老家になる益田元祥とその父・益田藤兼の物語である。
国人領主家の時代は石見西部の領地を基盤に、中国地方で絶対的な力を誇っていた大大名・大内家の傘下として働き、毛利元就によって大内家が滅びた後は、その毛利家と敵対した。
両者の緊張が最高になった時、益田家十九代・益田藤兼は毛利元就次男の吉川元春と和議を結んだ。その後、元春に従い、毛利傘下として各地で戦った。
父親の家督を継いだ益田家二十代・益田元祥も優れた武将として益田の兵を率いた。
益田元祥は吉川元春の後継・吉川広家の参謀格として、色々な場面で義弟の広家を支えた。
関が原の大戦で大きく減封された毛利輝元から授けられた知行地は長門の国の須佐を中心とする北西部であった。
毛利家が減封された後、かって広大であった旧毛利領に入った新領主から先収貢租返還問題が発生し、益田元祥はそれを克服する提案と、先頭に立っての働きで、主君・毛利輝元の信頼を勝ち得て藩政を主導した。
この篇では長州藩(毛利家)の歴史の中でも、とりわけ大きな実績として名を残し、後に益田家子孫は元祥まで遡り、永代家老家として遇される事となった益田元祥の晩年の活躍を描いた。
即ち孫に家督を譲り、一旦は隠居していた元祥は呼び出され、財政改革の実行者(元職)に命じられた。益田元祥は既に六十五歳。当時の男子にとっては、充分すぎる高齢であった。元祥は更にそれから約十年間、苦難の藩政を主導したのである。
毛利家が借り換えでやっとつないでいた財政を、主人公の大胆かつ着実な手法で立て直し、その上、後世に繋がる、殖産の種を播き、長州藩の財政基盤を固めた。
その元職を務めた期間に、農民から取り上げる年貢は五割にまで下げ(それまでの困窮していた毛利家では場所によっては年貢七十三%もの重税で、辛うじて大名の体面を保っていた)、領内で収穫される米の生産を驚くほど高めた。また新たな殖産としては紙や製塩の種を播いていった。
さらに、藩主権力が直接支配する直轄地(蔵入地)を増やした。毛利家拡大の毛利元就の時代、毛利家に参集した国人系家臣の知行に制限を加え、藩主の領国経営が一元的に行えるよう工夫したのである。
寛永九年(一六三ニ年)に長州藩の負債を完済。余剰金および米の備蓄も可能となり、長州藩の財政基盤を固めることに成功した。
即ち七十四歳という、当時としては異例なほどの高齢で、やっと当職を辞することが許された。
長州藩では益田元祥以降も、天災、財政危機は起こったが、毛利家はその都度、元祥時代の先例に倣い、有能な家臣に政を任せ、制度を改革し、殖産に力を注ぎ、江戸末期には西国の雄藩となっていた。 一時は存続さえ危ぶまれた毛利家も、結果的に益田家も共に命脈を繋いだ。
益田家は江戸期、永代家老家筆頭として毛利家を支え続けた。
長州藩では、元祥の率いた江戸初期の苦労と徳川幕府に対する反感が、江戸期 二五〇年間に、地下のマグマのように溜まり、明治維新に繋がったとの考えも否定はできまい。
本作品集は全て一人称で書き進めた。
これらの物語は一篇一篇独自の内容を持ち完結する形式である。
六篇の著作はランダムに書き進めたが、益田家の歴史順に並べると次の順序になる。

この六篇の内、前ニ篇は益田家十九代・益田藤兼の語る物語である。後四篇は親の藤兼の生き方を見て育ち、毛利家家臣として多くの功績を残し、最後には、永代家老家に遇されるような働きを残した益田家二十代・益田元祥が語っている。
シリーズ全体を貫いて改めてみれば、氏と氏(特に毛利氏や吉川氏)に対する「報恩」や「縁(えにし)」を核とする大きな物語世界であったと感じる。
自分の故郷で生まれた先人で英傑の活躍を、爽快に感じながら、人生初めて執筆に関わった筆を置く。